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【弁護士監修】AIによる契約書リーガルチェックの精度はどこまで上がったか【実証編②】

【弁護士監修】AIによる契約書リーガルチェックの精度はどこまで上がったか【実証編②】

実証編①からの続き>

AIに質問をする

質問内容

前回と重複しますが、質問内容を書いておきます。なぜこの質問内容なのかについては、前回のブログをご覧ください。

【質問1】 株式会社Aが株式会社Bにウェブ制作を依頼することになり、AB間で業務委託契約書を作成しました。資本金は、Aが5000万円で、Bが800万円です。依頼する業務内容については、契約書に「AがBに対して委託する業務内容の具体的内容については、AB間で随時協議の上定めるものとする。」という定めがあります。このような契約書の定めは適法ですか?

【質問2】 株式会社Aは株式会社Bに対して、Aが設計した機械の製造を委託することとなり、AB間で業務委託契約書を作成しました。設計図については、Bは契約前に概要しか見せられておらず、詳細は知りませんでした。契約書では「AはBに対し、本契約締結後速やかに、本件機械の設計図を送付するものとする」と定められています。ところがAの設計は、実はCやDが製造・販売している機械のものと、見た目も機能も全く同じというものでした。この場合、Bの製造が不正競争防止法にいう商品形態模倣行為に該当しない場合を挙げてください。

結果

【質問1】

AI①では、「ご質問の条項は、直ちに違法・無効とはならず、適法とされる可能性が高い。ただし、紛争時に『業務内容が特定できない』『合意が成立していない』という理由で問題になるリスクが高い。実務上は、業務範囲+個別合意方式を併用するのが望ましい」と出てきたものの、取適法への言及がありませんでした

ウェブ検索機能があまり整っていないのかもしれませんし、問題分析能力に問題があるのかもしれません。

AI②では、契約の成立や枠組み契約としての有効性に触れたうえで、「ウェブ制作は情報成果物作成委託に該当します。資本金1,000万円超の事業者→1,000万円以下の事業者への委託は下請法の適用対象となります」としました。

さらに「下請法3条は、親事業者が下請事業者に発注する際、給付の内容・下請代金の額・支払期日・支払方法などを記載した書面(3条書面)を直ちに交付することを義務付けています。『随時協議の上定める』という条項は給付の内容の記載を欠き、下請法3条違反となるリスクが高い」と出ました。

しかし、下請法(取適法)3条は、製造委託等代金の支払期日をいつにしなければならないかを定めた規定であり、契約内容を具体的に定めないといけない/書面化しないといけない、という規定ではありません。それを定めているのは取適法4条です。

つまり、ハルシネーションが起こってしまっているといえます。

AI③では、「委託事業者は、業務委託をした際、受託者に対して給付の内容などの明示事項を『直ちに』書面等で明示しなければなりません。内容を決定できるにもかかわらず、これを決定せずに通知しないことは認められません」というように、取適法を完璧に読み切った回答が出ました。また、AI③のサイトでは、公正取引委員会のガイドラインを読ませていることが確認されました。

【質問2】

AI①では、保護期間と「不可欠な形態」のほか、CやDから正当な権限や許諾がある場合は違法でないというのと、保護に値する「商品形態」ではなくありふれたものなら違法ではない、というのが出てきました。

まあまあと思いますが、次のAI②に比べると分析不足かなと思います。おそらくAI①は、問題分析能力にやや問題があるのかな、という気がしました。

AI②では、保護期間と「不可欠な形態」のほか、模倣でないという主張が可能な場合、ありふれた形態である場合、CやDの商品自体が第三者の商品形態を模倣したものである場合、が出てきました。

かなり精緻に問題分析をして回答されていると思います。先ほどはハルシネーションを起こしましたが、分析能力は結構高いのかなと思います。

AI③では、保護期間・「不可欠な形態」・模倣でない、などが出てきましたが、「ありふれた形態」は出てきませんでした。経済産業省のサイトでダウンロードできる「不正競争防止法ハンドブック」というガイドラインには質問2の話がきっちり載っていて、AI③はこれを読ませていることが確認されています。

それにもかかわらずガイドラインに沿った回答ができていないということは、AIの設定もしくはガイドラインの読ませ方に問題があるかもしれません。

まとめ

  • AI①:分析能力に問題あり。
  • AI②:分析能力は高く情報もそこそこ入っているが、ハルシネーションが起こる。
  • AI③:法律に関する資料を学習しているが、学習内容がAIの回答にうまく反映されていない。

法律業務でのAIの使い方

これらの結果から、どういうことがいえるでしょうか。

ウェブ検索は必要か?

結論からいえば、私は「ない方がいい」と思っています。いろいろ試行錯誤してAIを使ってきて、当初はウェブ検索ができるようにしていました。目的は「広く情報を集めるため」です。

しかし、法律問題にAIを使ううえでウェブ検索をするのは、非常に問題があることが分かりました。

たとえば、ある法律が令和8年3月1日に廃止されたとします。その法律の解説を載せたウェブサイトの内容は、廃止までは正しいですが、廃止後は嘘になります。逆に、別のサイトの内容が廃止までは嘘だが廃止後は正しい、ということもあり得ます。

そうすると、AIがウェブ検索できると「現在では嘘となる情報を読んで、現在では真実となる情報と錯綜してしまう」事態が起こります。これを避けるため、私は現在、AIにウェブ検索を認めていません。

法律に関する情報をAIに学習させること

ウェブ検索をしないとなると、法律に関する情報をAIに学習させないとAIは機能しません。AIがもつ情報はAIが作成された時点までのものしかないので、それ以外の情報をもとに判断させるには、AIに学習させるしかないからです。

私は、自分でシステムを組み、AIを保有して法律に関する情報を搭載し、法律業務に役立てています。搭載する情報は、すべて私が「これは確かな情報だ」というものだけです。たとえば裁判例、裁判例の解説として業界内で通説となっているもの、政府が発行しているガイドラインなどです。

結構面倒なのですが、私の業務に「誤り」は許されません。75%や80%の正答率ではダメなんです。それを心にとめながら日々業務をしています。

AIの設定や情報の搭載の仕方

少し専門的なAIの話になりますが、AIの設定や情報の搭載の仕方には本当に苦労しています。使い始めた当初は「AIを使えばちゃんと答えてくれる」と考えていましたが、AIも情報が不足すること、AIによって分析能力が違うこと、情報を自分で搭載できることを知るにつれ、だんだんといろいろ試すようになりました。

いろんなやり方がありますので、私の方法を知りたい方は、「お問い合わせはこちら」からご連絡くだされば、お伝えいたします。

法律業務におけるAI

先ほどの私のやり方にしても、そもそも「何が確かな情報か」という点は、人間が判断せざるを得ません。

確かな情報を与えられたAIは、「その情報に近接している情報は正しく、外れると嘘だ」という形でファクトチェックをします。でも、そもそも「確かな情報」かどうかは、究極的には人間にしかできません。

私は、ファクトチェックはAIにはできないと思っています。なぜなら、ファクトチェックの前提となる知識や情報を作り出すのは人間だからです。人間の言動一つで、嘘にも本当にもなる。それにAIは対応できません。

法律業務にAIを使うことは可能ですし、今後、使用しない弁護士は淘汰されると思っています。何よりAIと人間ではスピードが圧倒的に違いますから。でも、「何が正しい法律情報かを決めるのは人間である」というドグマがなくならない限り、法律業務をAIに奪われることはありません。

確かな情報をもち、迅速にクライアントのニーズに応える。企業法務において当然のことを当然のように行える弁護士になりたいと思っています。そのためにはAIは不可欠です。

AIを使って迅速に業務を行える弁護士がご要望でしたら、ぜひご連絡ください。お待ちしております。

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